オバマ氏が大統領に就任する。
アメリカにとってかつてない変革。
尊敬するリンカーンを踏襲して、
フィラデルフィアから列車でワシントンへ。
オバマ氏が初の黒人大統領ということもあり、
リンカーンのことも改めて知りたくなる。
僕が高校生のころだから、
もう10年以上前のことだけど、
新聞社が協賛して、
作家や著名人・学者などが講演する企画があった。
はるばる九州やってきたのは猿谷要氏。
(アメリカ史、駒沢女子大学名誉教授)
いろんな意味で記憶に残っている。
最初に講演の内容を2つの大枠で提示した。
(先の見えないハナシってしんどいですよね)
それはリンカーンと猿谷夫妻がアメリカに滞在した時のこと。
高校生に理解しやすい構造。
リンカーンについて、
開口一番、
「リンカーンは奴隷のために南北戦争を戦ったのではない」
と。
(記憶ちがいがあったら申し訳ないです)
「えっ」と思う導入部分。
たしかにリンカーンは人道上の観点から、
奴隷解放を掲げたが、それによって南部が離反。
アメリカは内戦状態に陥る。
リンカーンはただ武力で臨むのみならず、
一部の州では奴隷解放は自主判断で、
というような妥協案も提示していた。
戦線が思わしくないこともあり、
大統領再選も危なくなってきたこともあって。
そんな猿谷氏の講演が思い起こされる。
妙に記憶に残っているので、
自分でもコツコツ調べてきた。
リンカーンは最終的に妥協案をすて、戦い抜くことを決断する。
リアリストとしてのリンカーン像が浮かび上がる。
一度決断したら迷わない。
古いアタマの将軍たちを解任し、
柔軟で才覚をみせたグラントやシャーマンを司令官に。
今の自分が調べてみると、
南北戦争は本当にアメリカ最大の危機だったと思う。
死傷者は世界大戦よりも多く、
南部独立に欧米諸国が介入していた。
日本にペリーを送っておきながら、
自分トコが祖国分断の危機に。
日本の戊辰戦争レベルの危うさ。
後世の我々は結果を知っているけれど、
当時はどう転ぶかわからない状態。
リンカーンは問題の優先順位を誤らず、
南部の無条件降伏を第一義とした。
その戦略にのっとり、
商業・工業の要地や港を占領し、
経済的にも南部連合を追い詰めた。
奴隷解放については実施したものの、
白人との共存は難しく、黒人が新たな地を開拓する道もある、
という意見を述べていた。
(哀しいけれど、実際に共存の難しさは歴史が物語っている)
苦悩するリンカーン。
目に見えて憔悴する様子が多くの証言として残っている。
前述の軍部高官の更迭も、
シビリアン・コントロールの概念を貫徹するのに難しい時代。
職業軍人の専門性に対して文官が・・・という風潮も。
また、当時の最新技術であった電信に着目し、
技師たちの部屋に居座り、戦況を着実に把握していた。
その上ですぐに命令書を書き、電信技師にわたし、
彼の戦略プランを現場に徹底させていた。
司令官たちへは丁重な文面だが、
かなりドスのきいた命令書。
(皮肉気味に任務が困難なら誰かに代わってもらうよ、と)
信念と戦略が確立していた証左と言えるだろう。
それらを決断し、責任をとったリンカーンの凄みに、
政治家の本分・矜持を感じる。
現代のアメリカが、経済や軍事で世界に「迷惑」をふりまいている。
けれども、世界各地で抑圧されている人々にとって、
アメリカに亡命したい、アメリカが内紛を仲介してくれないか、
そう思える国があるだけでも、まだ希望がある。
アメリカが自身がその想いを踏みにじらないかぎりは。
けっこう土壇場。
オバマ政権のでのアメリカ、
どのようなことが行われるのか、期待と不安が入り混じる。
独断専行はもう勘弁してほしい。
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出典:アサヒドットコム
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